卒園児の父母の声

「字を覚えるよりも」 小学3年男子・1年男子の母より

 

 上の子は教えなくても早いうちから読み書きをしたが、下の子は全く覚える気がなかった。 トミカやポケモンの種類を毎回読まされるこちらとしては、カタカナだけでも読んで欲しいと思っていた。「そのうち読むだろう」の「そのうち」より入学が先に来そうだった。それでも、絵本は大好きで、絵だけでストーリーを理解し一人でじっくり読んでいた。しかも作者がさぞ喜ぶだろうと思う細部まで絵を読んで新しい発見をし、「字を読めないからこその能力」を発揮するのは拍手もので、「読めるようになったらもったいない!」と思うほどだった。「字は入学してからでも大丈夫」というのが本当かどうか試してみたい気もして、そのままにしておいた。そして入学。「自分の名前は なんとなくわかる」位のレベルだった。結果は......。「字は入学してからでも大丈夫」ということが実証された。泥だんごづくりを極めた集中力で毎日の 授業を一生懸命聞いてくる。それだけでなく入園したときには2ヶ月泣いていたのに、学校にはすぐに慣れた。お笑いキャラでクラスの中での居場所もすぐに作った。幼稚園で受け入れられて過ごした3年間 が自信となり、新しい場所でも一歩一歩しっかりと進む力となったのだと思う。

「ゆっくりと過ごす」 小学3年男子・1年男子の父より

 

 幼稚園時代は楽しく通ってはいたものの、 友達の事を聞いてもあまり話をしないし、自 分のペースで興味のあることをやっているよ うに見えた。
 入学したのは原町田幼稚園からは1人だけの小学校。埋もれてしまいそうでちょっと 心配だった。おまけに周りの幼稚園は在園中にいろいろと教える所も多く、そんな子どもたちに囲まれて、幼稚園時代を自由にゆっくと過ごした息子がはたして気後れせずにやって行かれるのかちょっと不安があった。
 ところが、小学校に入った息子はまるで水を得た魚のように楽しく過ごしていた。授業の内容や学校での過ごし方をどんどん覚え、親がなにも言わなくても何事も自分で進めていった。幼稚園で知識を詰め込まれなかったことの反動なのか、飢えていたようにいろい ろと吸収してきた。友達との関係も次第に変わってきて、話しを聞くといろいろな名前が出てくるようになり、先生の話を聞いてもそれなりのポジションがあるようで安心した。
 たぶん、幼稚園で過ごした自由な2年間は、 それまで大人の中の子どもだった息子が対等な関係の友達という環境に慣れる時間だったのだろう。 何事も急ぐことなく息子のペース を大切にし、ありのままを受け入れてくださったことが力になったのだと思う。小学校に入れば時間も縛られるし、どうせ 勉強はずっとついて回るのだから、あたたかい幼稚園でゆったりと自由に過ごすことができて良かったと思っている。